ピロリ菌除菌の治療成功率が高い薬には何がありますか?
ボノプラザン(タケキャブ®)を使用した3剤併用除菌療法は治療成功率が高いです。
以下はヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍瘢痕患者を対象にした、「ボノプラザン」と「ランソプラゾール」の治療成績の比較です(タケキャブ®の添付文書)。
【一次除菌】
ボノプラザン VS 既存のPPI(ランソプラゾール)
各薬剤の1回量 | 除菌率 |
ボノプラザン20mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン200mg又は400mg |
92.6%(300/324例) |
ランソプラゾール30mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン200mg又は400mg |
75.9%(243/320例) |
【二次除菌】
ボノプラザン(orランソプラゾール)+アモキシシリン+クラリスロマイシンの3剤投与で除菌が不成功であった50例を対象とした臨床試験。
各薬剤の1回量 | 除菌率 |
ボノプラザン20mg アモキシシリン750mg メトロニダゾール250mg |
98.0%(49/50例) |
このように、ボノプラザンを使用する3剤併用療法では、
1次除菌の成功率が92.6%、
2次除菌の成功率が98.0%で、
これは従来のPPIを使用する3剤併用よりも治療成功率が高い傾向にあります。
また、クラリスロマイシン(CAM)耐性株を有する患者におけるピロリ菌一次除菌率は以下のようでした(タケキャブ®の製品情報概要)。
【CAM耐性 一次除菌】
ボノプラザン+アモキシシリン+クラリスロマイシン
→除菌率82.0%(n=100)
ランソプラゾール+アモキシシリン+クラリスロマイシン
→除菌率40.0%(n=115)
クラリスロマイシン耐性株が相手だとさすがに除菌率は下がりますが、ボノプラザンは既存のPPIよりも高い除菌率という結果でした。
なお、2次除菌で使用するメトロニダゾール(商品名フラジール)は、アルコールの代謝過程においてアルデヒド脱水素酵素を阻害し、血中アセトアルデヒド濃度を上昇させます。
このため、腹部の疝痛・嘔吐・潮紅があらわれることがあるので、メトロニダゾールを服用中の飲酒は禁止です。
今更ですが、なぜピロリ菌の除菌にPPIやボノプラザンが使用されるのですか?
PPIやボノプラザン自体には直接の抗菌作用はありません。胃内pHを上昇させ、併用される抗生剤(アモキシシリン、クラリスロマイシン)の抗菌活性を高め、抗菌薬の粘液層透過性を高めることで、補助的に除菌に関与していると考えられています。
参考:パリエット®IF、タケキャブ®IF
1次除菌で失敗した場合、2次除菌までの間隔はどのくらいあいても大丈夫ですか?
1次除菌の失敗がはっきりしていれば、何年たっていても2次除菌を施行することが可能と考えられます。ただし、2次除菌を行うときは、レセプトに1次除菌不成功の旨を記載する必要があります。
参考:日本消化器学会のwebサイト
ボノプラザンは従来のPPIよりもピロリ菌除菌率が高く、これはクラリスロマイシン耐性株にも当てはまる!
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