デノタス®とは
デノタス®は
沈降炭酸カルシウム/コレカルシフェロール(天然型ビタミンD)/炭酸マグネシウム
の配合錠で、1錠中に次の成分を含有する。
●沈降炭酸カルシウム(日局)762.5mg(カルシウムとして305mg)
●コレカルシフェロール(日局)0.005mg(天然型VDとして200IU)
●炭酸マグネシウム(日局)59.2mg(マグネシウムとして15mg)
RANKL阻害剤(デノスマブ(遺伝子組換え)等)投与に伴う低カルシウム血症の治療及び予防に使用され、通常1日1回2錠で服用する。
つまり、カルシウムとして約600mg、天然型VDとして400IUを摂取する。
デノタスに含まれるVDは「活性型」ではなく、「天然型」なのが特徴である。
なお、デノスマブ製剤には2つあり
ランマーク®皮下注
適応:
〇多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変
〇骨巨細胞腫
プラリア®皮下注
適応:
〇骨粗鬆症
〇関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制
とがある。
なぜRANKL阻害剤(デノスマブ)を使用中にデノタス®を併用するかというと、ランマーク®の治療開始後数日から、重篤な低カルシウム血症があらわれることがあり、死亡に至った例が報告されているから、である。
この重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、カルシウム及びビタミンDの経口補充のもとに本剤を投与することとなっており、これはランマーク®の警告の欄に記載がある。
このことを受け、プラリア®も同様にデノタス®と併用となる。
ランマーク®、プラリア®使用中
→原則、デノタス®を併用する。
ランマーク®、プラリア®はエディロール®と併用可能か?
では、本題に入るが、ランマーク®、プラリア®はデノタス®ではなくエディロール®などの活性型VD製剤と併用可能か?
結論から言うと、可能な場合もある。
まず、ランマーク®の添付文書には以下の記載がある。
本剤による重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、毎日少なくともカルシウムとして500mg(骨巨細胞腫の場合は600mg)及び天然型ビタミンDとして400IUの投与を行うこと。
ただし、腎機能障害患者では、ビタミンDの活性化が障害されているため、腎機能障害の程度に応じ、ビタミンDについては活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整すること。
次にプラリア®の添付文書には以下の記載がある。
本剤投与により低カルシウム血症があらわれることがあるため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、毎日カルシウム及びビタミンDの経口補充のもとに本剤を投与すること。
ただし、腎機能障害患者や、既に活性型ビタミンDを使用している患者においては、適宜、活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を調整すること。
このように、①腎機能障害患者、②すでに活性型VDを服用している場合は、活性型VDの使用が可能である。
またカルシウムの投与については血清カルシウム値をみて、必要なら処方する、ということだ。
ランマーク®、プラリア®使用中
→原則、デノタス®を併用する。
ただし、場合によっては活性型VD製剤の使用が可能で、その際カルシウム製剤は検査値を見ながら処方を検討する。
血清カルシウム値の値をそのまま使用するのはNG?
血清カルシウム値が8.5mg/dL未満の場合を低カルシウム血症と診断する。
低カルシウム血症の原因には、副甲状腺機能低下症、ビタミンD作用低下症、腎不全、薬剤によるもの等がある。
ここで注意したいのだが、血清カルシウム値は、低アルブミン血症があるとカルシウム代謝に異常がなくても低値となるため、見かけ上、低カルシウム血症を示すことになることだ。
そのため、血清アルブミン値が4.0g/dLを下回っている場合には、血清カルシウム値を以下の式により補正する必要がある。
補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)+4−血清アルブミン値(g/dL)
なお、低カルシウム血症の症状には、QT延長、痙攣、テタニー、しびれ、失見当識等などがある。
プラリア®ってどんな薬?
ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤であるプラリア®。
2022年2月時点では、適応は以下の2つ。
〇骨粗鬆症
〇関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制
特徴的なのがその用法用量だ。
〈骨粗鬆症〉
通常、成人には60mgを6ヵ月に1回、皮下投与する。
〈関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制〉
通常、成人には60mgを6ヵ月に1回、皮下投与する。
なお、6ヵ月に1回の投与においても、骨びらんの進行が認められる場合には、3ヵ月に1回、皮下投与することができる。
このように半年に1回に皮下投与する製剤のため、併用薬の聞き取り方が非常に重要だ。聞き取り方が不十分だと、プラリア®を使用していることを把握できない!!ということになりかねない。
なお、プラリア®を使用していることが推測できる場合がある。
それはデノタス®が処方されている場合だ。
しかし、それ以外の活性型VD±カルシウム製剤が処方されている場合は、気づけない場合もあるかもしれない…。お薬手帳の活用、普段からの聞き取りが大切である。
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